イケメンエリート、愛に跪く
「舟君、会社を辞める事に関しては少し考えさせてほしい…
今、色々なプロジェクトが動き始めてて、でも、その件についてまずは決着をつけないと、辞めるとか言えないの。
アナウンサー室の人達にも迷惑をかけるわけにはいかないし…」
愛は舟から体を離し、そう小さな声で呟いた。
舟はいささか早急過ぎたかもしれないと、少し反省した。
でも、一瞬で愛の顔が曇った事実を舟は見逃さなかった。
「分かった…
でも、愛ちゃんのその顔には、今の会社にずっと居たくないって書いてある。
僕はそんなに長くは待てないよ。
きっと、どれだけ考えても愛ちゃんは何も決めれないと思うから、その時は僕に任せてほしい」
愛は舟の目を見つめた。
舟は私をジッと見ている。
僕を信じてと…
「まずは自分でちゃんと頑張ってみる。
それでダメだったら、ちゃんと舟君に相談する。
それでいい?」
舟はお湯に浸していた足を愛の足に絡めて、一緒にバタバタしてふざけてみる。
愛の言葉に、舟は返事をしなかった。
もう、僕のプランは始まっている。
砂の城の住むお姫様は、その城を出たがっている事が分かったから。