イケメンエリート、愛に跪く
舟は、愛には黙って、愛の勤める関東テレビに来ている。
昨夜、愛に自分の考えはちゃんと告げた。
舟が考える愛の救済策は、まずはこの悪の温床のテレビ局を辞める事だ。
舟は舟なりにこの会社の今の状況を調べ上げた。
徹底的に中の事情をあぶりだすため情報通のタロウを使い、そしてその報告を今朝タロウから聞いた。
この会社に未来はない、これが舟が下した結論だった。
でも、愛のために自分のポケットマネー程の金額でこの会社を救済する事はできる。
舟はビジネスの鬼と化して、愛を救うためだけにこの会社に情けをかける事にした。
この会社の重鎮達が賢い人間であれば、僕を使って成功を手に入れる事だってできる。
でも、それはその人達に先見の明があり新しい物を取り入れる柔らかい頭脳があればの話だけど…
舟はEOCの東京支社の方から、関東テレビの局長にアポイントを取ってもらった。
急な話のはずなのに、今日の午前に連絡して午後の三時には会う段取りが整った。
舟はある意味無謀な取引を簡単に進めるために、自分の地位や名誉、世界的に認知されているEOCの評判を全てフルに使う事にした。
圧倒的な力で、相手に物を言わせない手法を取るためだ。
舟は愛のために羊の仮面が脱ぎ捨てる。
僕の大切な人を苦しめた代償は、どういう形であれ必ず払ってもらうから。