イケメンエリート、愛に跪く



「めちゃくちゃ可愛かったよ。

僕より一つ年上で、その頃は僕なんかより身長もすごく高くて、一つしか違わないのにすごくお姉さんぶってて…
たまにしか帰って来ない僕をいつも守ってくれてた。

愛ちゃんは本当に可愛かったし性格も強かったから皆一目置いてて、だから僕は愛ちゃんのおかげで他の皆と仲良くできたんだ」


舟はずっとこの初恋を大切にしていた。
その後、たくさんの恋もしてきたけれど、でも、あの愛ちゃんとの思い出に敵うものはなかった。


「でも、何で10歳で会えなくなっちゃったの…?」


舞衣は舟と愛ちゃんの初恋の話にどっぷり入り込んでいる。


「僕の祖父母もアメリカに移住することになったから。
母さんとジョージが会社をたち上げて忙しくなって、僕や弟達の面倒を見るためにアメリカに来たんだ。
母さんは一人っ子だったし、僕の事も心配だったらしくて」


舟は舞衣の真剣な顔を見てクスッと笑った。


「でも、子供の頃の舟さんは、その愛ちゃんにちゃんとさようならは言えたの?」


舟は寂しそうに首を横に振る。


「言えてない…
祖父母の引っ越しも急だったからね。

それに、それっきり、ほとんど日本に帰ってないから。
仕事で行く事はあるけど、帰るっていう感覚じゃないし、なんか日本で生まれたはずなのに日本がすごく遠いって感じかな…」









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