イケメンエリート、愛に跪く
舟はわざと大きな音を立てて、ドアをノックした。
ジャスティンは舟に気付くと、バツが悪そうに肩をすくめる。
「舟、19時にこのビルの53階のレストランを予約しておいたから。
お前の歓迎会なんだから、絶対来るんだぞ。
あ、愛ちゃん、ちゃんと個室を準備しといたから気兼ねなく来てね。
というより、舟を絶対連れてきて、よろしく」
ジャスティンはそう言うと愛にウィンクをして、その場を離れた。
愛はジャスティンを見送った後に困ったように舟を見ると、舟は明らかに機嫌の悪い顔をしている。
「舟君、どうしようか…?
ジャスティンはあんな風に言ってるけど…」
舟は愛の困っている顔を見て、大きくため息をついた。
「あ~、僕ってマジで面倒くさい奴だ。
自分がそんな男だったって事に、一番に驚いてる」
愛の意味が分からないみたいな首を傾げる仕草に、舟はまた心を掴まれる。
「愛ちゃんを、僕だけの愛ちゃんにしたいって心から思った…
愛ちゃんと楽しそうに話すジャスに嫉妬した。
ジェラシーっていうものを、初めて体感したよ」
愛はクスッと笑い、舟を愛し気に見ている。
「子供の頃の舟君と何も変わらない。
私が近所の同級生の男の子と話してたら、同じような事言ってたよ。
愛ちゃん、他の男子と喋らないでって」