イケメンエリート、愛に跪く
舟の歓迎会は、愛にとって異空間そのものだった。
女性社員がいないのは分かっていたが来る人来る人イケメン揃いで、愛の目はどこを見ていいか泳いでしまう。
「凪の件以来、EOCに恋愛風邪が流行ってんな~
そして、皆、かわい子ちゃんばかりで、本当羨ましいよ」
そう言いながら愛に近づいてきたのは、映司だった。
「僕がたまにテレビで見てた愛ちゃんだよね? 関東テレビの?」
愛は静かに頷いた。
関東テレビの人気者の愛ちゃんは、今では不倫女子アナと揶揄されている。
愛はそのまま下を俯いてしまった。
「愛ちゃん、あと30分したら帰るから…
もうちょっと我慢して…」
舟はどんな時も愛を見ている。
愛の小さな心の揺れも、すぐに感知してしまうほどに。
でも、ここに集まっているメンバーは、愛を誰一人腫れ物のようには扱わない。
舟の大切な人という認識だけで、愛情深く家族のように愛を受け入れてくれた。
「でも、本当に意外な人ばかりだよな…
舟にしたって、あの変わり者の凪にしたって」
今度は一番落ち着いて見える年長者のトオルが、感慨深げにそう言った。
「でも、愛ちゃん…
俺の見解だと、舟は仕事に関しては研ぎ澄まされたナイフのように危険な奴だけど、きっと恋愛に関しては愛ちゃんの膝枕じゃなきゃ眠れない甘えんぼちゃんだと思うよ」