イケメンエリート、愛に跪く
今夜の愛は驚いてばかりだ。
舟が借りているお友達のマンションは、この東京の一等地に建つビルの52階のワンフロアを全部占めていて、リビングなんて外国の広い土地に建つ豪邸で見るような広さだった。
40畳程あるリビングは、全てにおいて今まで見た事がない豪華さだった。
「しゅ、舟君のお友達って、もう年配の方?
でも、皆、名前を呼び捨てにしてるから、そんなわけないよね…」
舟は混乱気味の愛を見るのが楽しかった。
確かに、凪という男は、ニューヨークのマンションといいここといい、暮らしや住まいに興味はないくせに一番の物を持ちたがる。
実際、舟も凪のマンションがEOCの入っているビルにあるなんて、今回初めて知ったくらいだから。
「凪は、年齢は俺と一緒くらいかな。
でも、EOCで一番稼いでる。
あいつの頭の中は、誰も理解ができないくらいにコンピューターに精通してるんだ。
色々な場所から引っ張りだこだよ。
でも、今日会った東京の皆も、凪に負けないくらい凄い奴らなんだ。
母さんはいい人材を見つけて育てるところでも成功してる…」
舟は愛がハッとした顔をしたのに気付いた。
「舟君、初めて母さんって呼んだ…
お母様の事をソフィアって呼んでるから、何だか寂しかったんだ。
だって、小さい頃は、母さんって呼んでたもんね」