イケメンエリート、愛に跪く
「舟さん、大変…
その舟さんの初恋の相手の方って、日本では有名な柏木愛かもしれない…
あ、そのね、柏木愛って何年か前まで、すごい人気のある女子アナウンサーでね…
でも…」
舞衣はその先が言えなかった。
柏木愛のスキャンダルは、その頃これといったニュースがなかった日本で連日テレビで放送されていたから。
舟は舞衣からタブレットを取り上げて、また愛の画像を見ている。
「愛ちゃん、アナウンサーになったんだ…
うん、納得する。
なんかピッタリ合ってるよ」
でも、舟は心ここにあらずの舞衣の事が気になった。
「マイマイ、どうした?」
舞衣の目が泳いでいるのが分かる。
「舟さん…
舟さんの愛ちゃん、大変な事になってる…
私が日本にいる時、不倫騒動ですごい叩かれてた。
それでいて、不倫を正当化するみたいな事を言っちゃって、愛ちゃん、その局から干されて、なんか入院したって聞いた。
多分、幸せな結婚なんてしてないよ…
きっと、まだ苦しんでると思う…」
舟が久しぶりに見る愛の顔は、綺麗で洗練されてて舟の理想そのものだ。
僕の大切な愛ちゃんが、日本で苦しんでる…?
入院した…?
舟は居ても立っても居られない。
どこからそんな気持ちがあふれ出るのか分からないけど、お前が愛ちゃんを救わなきゃダメだろって僕の奥の方から声がする。
幼いままの愛ちゃんが僕を呼んでる…
そんな気がして、心が苦しくてしょうがない…