イケメンエリート、愛に跪く
「美弥ちゃん、愛ちゃんがちゃんと室長室で室長と話せたか確認してほしいんだ。
そして、俺にメッセージを送ってほしい」
タロウはそう言うと、自分の携帯番号とアドレスを書いた紙を美弥に渡した。
必死さを装って真面目に顔をしかめて話し、今は爽やかなキュートな笑みを浮かべ美弥を見つめる。
「美弥ちゃん、本当に本当にごめん…
初めて会ったのに、こんなお願いなんかして…
美弥ちゃんがもし良かったら、このお礼に食事をおごらせて。
っていうか、俺がそうしたいかも…」
美弥はタロウをずっと見つめたまま、大きく頷いてくれた。
この顔はきっと俺の魅力の虜になってる…
タロウは笑顔のまま、美弥を見送った。
この時は、タロウは何も気づいていない。
惚れられる事に慣れ過ぎて自分から惚れる事に縁がなかったタロウが、この日この場所で美弥に出会って、恋という純粋な尊いものを知ってしまうハメになることを…