イケメンエリート、愛に跪く



ソフィアはジョージと結婚して以来、家族の中では一切日本語は話さない。
園子という日本名を捨ててソフィアに変えた時は、僕は子供ながらに戸惑った。

それ位に母さんは徹底した人間で、頭の良さと物事を見極める勘の良さで、ここまで会社を大きくした。

特に、僕には人一倍厳しかった。
日本生まれの大人しい僕を、徹底的にアメリカ人に育てあげた。
でも、母さんとジョージの母校ハーバード大学を主席で卒業した時は、さすがの母さんも感動の涙を落としたらしい。

凪が言うように、僕はおっとりとした表面は日本人ぽいが、でも、中身白黒はっきりとした人間だ。
その刃は容赦なく、時には、理屈に合わない人間を完全に切りすてる。

僕の事をよく知っている人から揶揄されるのは、羊の皮を被った狼だという事。
ま、それは否定はしない。
だって、それは僕のオリジナリティであって長所だと思っているから。



「え、じゃ、ロンドンにはいつ頃行けばいいの?」


社長命令に背くわけにはいかず、舟は諦めの境地でソフィアにそう聞いた。


「急な事で申し訳ないから、シュウのいい時期で大丈夫。
仕事を済ますなり、私用を片付けるなり、一、二か月の間で行ってくれれば大丈夫よ」




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