イケメンエリート、愛に跪く



舟はもう一度姿勢を正し、目の前に座る局長をしっかりと見る。


「今、私達は、新しい風をどうやって吹かそうか模索している途中であって、一番何よりも理想的なのは実績をあげ会社の評判を上げ、いわゆるその古株という勢力に立ち向かう力を持つ事だと思っています。

高市様のおっしゃるように柏木アナの騒動は氷山の一角で、この会社は実力以外の訳の分からない力によって牛耳られているのも確かです。

私は若い者からの熱いエールを受けて、局長に就任しました。

もし、EOCという巨大な会社と結びつきがもてるのなら、これ以上の強みはないと思っています。

Canhuuの担当にはわが社の一番の若手を就けようと思っております。
皆、この話が上手くいく事を、心の底から願っています」


舟は局長の言葉と表情に嘘はないと感じ取った。
ここまで自分の会社の内情を包み隠さず話す事が、そう物語っている。


「分かりました。
それでは、僕からの条件を検討してください。
できれば、今すぐにでも、答えがほしい」


舟はまたジャスを見た。
ジャスは日本人らしく軽く頷いて、気の毒そうな目で局長を見る。
さっさと終わらせてくれと、心の中で毒づきながら。

局長とその他の面々は、固唾を飲んでその条件を待っている。





< 82 / 163 >

この作品をシェア

pagetop