イケメンエリート、愛に跪く
関東テレビとの話し合いが終わり、舟はジャスとビルを出た。
今日はジャスのマイカーに乗せてもらいここへ来た舟は、時計を見てそしてジャスを見る。
「いいよ、俺は一人で帰るから、お前は愛ちゃんとデートしてから帰って来い」
ジャスは恋する舟の気持ちはよく分かる。
特に、日本に居れる時間が少ない舟にとって、わずかな時間も大切したいと思う気持ちは尚更だ。
「でも、中途半端に時間があるけど、時間は潰せるのか?」
ジャスは、だからと言ってつき合う気はないが、親切心でそう聞いた。
「その先の公園で本でも読んで待ってるから、大丈夫だよ」
ジャスは驚いたように目をぐるっと回した。
こんな底冷えのする日に公園で読書だなんて、マジか?舟?
「ジャス、今日は本当にありがとう…
とりあえず、愛ちゃんは無事に会社を辞めれそうだから、良かったよ」
舟はジャスを見て嬉しそうに笑った。
「でも、その川野っていう男の異動は四月だろ?
この時期に契約を済ませて、四月にその男が異動にならなかったらどうするんだ?
皆のあの顔は、そんなに簡単じゃないって感じだったからさ」
ジャスは自分のせこい考えにうんざりした。
きっと、舟にとってはどうでもいい事に違いないから。