イケメンエリート、愛に跪く
「約束を守らなかったら、それなりのペナルティは与えるよ。
その状況によっては、関東テレビを地の底に落とすことだってあり得る」
ジャスは大げさに身震いをした。
「お前は本当にやるから怖いんだよ。
ソフィアもそういうところを心配してたぞ。
これからは、何でも愛ちゃんに相談する事だな。
愛ちゃんは、お前の持ってない寛容性や慈悲深さを持ってるから、舟という男がグレードアップするには最高の相棒だと思うよ」
ジャスはそう言った後、もう一つ素朴な疑問を舟に投げかけた。
「お前は愛ちゃんから仕事を奪って、この先の愛ちゃんをどうするつもりなんだ?
日本には後ちょっとしか居れないのに…」
舟は目を細めてジャスを見る。
くだらない事聞くなと目で威圧しながら。
「僕は愛ちゃんと結婚する。
どういう困難が待ってようとね」
ジャスにとってこの答えは想定内だ。
「応援するよ。ソフィアも喜ぶだろ」
ジャスは外の寒さにぶるっと体を震わせ、舟に手を振った。
舟は、駐車場のある地下へ向かうジャスを、有り難い気持ちで見ていた。
表面とは違う刺々しい僕を、ここの仲間は何でも受け入れてくれる。
ソフィアの息子とかそう言う事を抜きにして、本当の仲間だとお互い思っている。
ジャスの言う通り、僕は愛ちゃんの優しい性格を学ばなければならないようだ。
損得抜きで相手を思いやる心が、僕にはあまり備わってないみたいだから。