イケメンエリート、愛に跪く



舟はある事を考えてしたり顔で笑った。


「ソフィア、一か月ほど日本へ行きたいって思ってるんだけど…」


「日本?」


ソフィアは少し驚いたが、でもすぐに冷静になる。
今までも舟の行動に何一つ異を唱えたことはない。


「じゃ、ちょうど良かった…
東京でやりかけの仕事が山積みだから、それを社長代行として済ませてきて」


ソフィアはそんな女だ。
御曹司だの次期社長などという甘ったるいワードを並べて、僕の事をこき使う。
まだ、継ぐかどうかもこっちは決めてないというのに。

舟は渋々頷いた。
でも、これで晴れて東京へ行ける。
一か月という短い時間は、一体僕をどうのように導くのだろう…



そんな事を考えていると、飛行機は着陸態勢に入った。

東京に着いてまず最初にしたい事…
それは柏木愛というアナウンサーを捜す事…

舞衣が言う程の有名人だったら、簡単に捕まるだろう。

愛ちゃんに会って愛ちゃんを見て、そして僕がどう変わるのか…?
それ次第で、早く帰るか一か月まるまる滞在するか、すべての計画が決まる。

舟は小型パソコンを開き、愛の画像を見る。
愛のある限りの画像を全て保存した。

何度見ても飽きないのは、もうこの時点で僕の心は、愛ちゃんに持っていかれてる…
笑っちゃうくらいに…




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