イケメンエリート、愛に跪く



二人が居酒屋を出ると、外は粉雪が舞っていた。
濃い紫色の空からこぼれ落ちる真っ白な雪に、愛は神妙な気持ちになる。

舟への返事をまだ迷っている自分がいた。
甘えるのが苦手な愛は、中々踏み切れずにいる。


舟はコートの襟を立てて、大きく息を吐いた。
ポケットに手を入れるとある物が入っている事に気付いた。


「あ、愛ちゃん、この間からずっと渡そうと思ってる物があって、でも、ポケットに入れたままいつも忘れてしまって…」


舟はそう言いながら、寒がっている愛を自分の側に引き寄せた。


「今、忘れない内に渡すね。
愛ちゃん、お誕生日おめでとう!」


舟から綺麗にラッピングされた箱を渡された愛は、目を丸くして驚いた。


「誕生日?」


舟は愛の肩を強く抱き寄せ、照れくさそうに笑った。


「そう、誕生日… この間のね」


愛は驚きながらその箱を開けてみた。
その箱の中には、ダイヤが散りばめられたハートのネックレスが入っている。


「舟君… こんな高価な物もらえないよ…」


「気に入らなかった?」


愛は大きく首を横に振った。
すると、舟はその箱からネックレスを取り出して、愛の首元に優しくかける。




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