運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》
「・・・嬉しい。優衣が俺のためにお弁当を作ってくれたなんて。しかもそれを持って会いに来てくれるなんて。本当に夢みたいだ。それは優衣が食べていいよ。一つしかここに持って来てないってことは、自分の分のお弁当はないんでしょ?」


「で、でも・・・」


「じゃ、いただきます。本当なら食べさせてもらいたいけど、優衣も食べなきゃお昼休み終わっちゃうからさ。うん、美味しい」


総一郎さんはお弁当箱を持って、「美味しい」「美味しい」と私が作ったお弁当に箸を進めた。


私は有名料亭のお弁当なんてと躊躇っていたけれど、総一郎さんが食べなきゃ捨てることになるからと言うので、申し訳ないと思いつつも食べることにした。


「な、なんなんですか。本当に美味しいんですけど、このしいたけとか味がしみしみですし」



法事くらいでしか食べない仕出し弁当。しかもそれが有名料亭のお弁当だから文句のつけようがない。


何を食べても感動で、自分が持ってきたお弁当が恥ずかしい。でも、総一郎さんはそれを完食してくれた。
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