運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》
「あいつが直接何かをすれば余計に火種がお前に行くと思ったんだろうな。だから俺に頼んできたんだろう。本当、お前のことしか考えてないな、あいつ」


総一郎さん、そんな風にお兄ちゃんに頼んでくれていたんだ。

顔には出さないようにしていたのに、気づいてくれただけじゃなく、守ってくれていたなんて。


「そこまで思っていてもらえてたんだ。なのに、なんで私、プロポーズされたあのとき結婚したいって素直に答え出せなかったんだろう」


言った後、ハッとした。
まだ言うべきじゃなかったんだ。
プロポーズされたなんて。


「結婚、怖いと思っているのか?どうせお前のことだから、また自分にはなんて思ってんだろう」


「流石だね、お兄ちゃん」


本当、流石兄であり、経験者でもあるから私の考えていることなんてお見通しなんだろうな。お兄ちゃんは黙ってビールをグイッと飲んだ。


「考えても仕方ないことなんだよね。だって私が総一郎さんに釣り合わないのは、分かり切ってることだし」


「そうだな。考えても仕方ない。選択肢は二つ。結婚するか、別れるか。俺はその選択肢で別れるを選んだ。選んだはずだったんだ」
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