運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》

テーブルの上の料理に手をつけることもなく、彼は表情を一つ変えず、私をじっと見つめていた。

「・・・結婚、するのか?お前」

ごめんと言う風に申し訳なさそうな顔をする渚と真剣な眼差しの的場くんを交互に見て、私は小さくうなずいた。


まだ、結婚できるわけじゃない。
私が私を認めてあげることができていない。

でも、結婚したいという気持ちはある。
それだけは認めたい。


「マジか。俺、本社に決まったとき、真っ先に影山のことが頭に浮かんだんだよな。やっと会えるって」


頭を抱え込み、俯く的場くん。
渚にどうしたらいい?というように目で合図を送ると、小さく横に首を振られた。


「でも、まだ結婚してねえんだよな。なら、まだ俺、望みあるんじゃねえ?しかも影山って昔、俺のこと好きだったよな?」


「あのね、あんたいつの話してんのよ。大体、今は結婚考えてる人がいるって言ってるんだからあんたの入る隙なんてないの」


渚が助け舟を出してくれたけれど、的場くんはやっぱり聞く耳持たず。


「じゃあ、いつなら大丈夫なんだよ?連絡しようと思ったけど、仕事慣れるのに、毎日必死だし、どんどん日は過ぎてって、今更になっちまったんだよ。なあ、俺に望みはねえのか?」
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