運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》
「私も会社では遠い存在だし、やっぱり私からは声を掛けられないなって思ってました。だからこうやって抱きしめられて幸せです」


「もう、そんな可愛いことばかり今、言うなよ。本当に押し倒したい」


「ダメですよ、もうすぐお兄ちゃんが帰ってきますから」


「……二人の世界に入るなら鍵は閉めてくれ」


その声のする方を私も総一郎さんも見ると、いつのまにかお兄ちゃんが帰ってきていた。

急いで総一郎さんと離れると、「今更」と一言言われてしまった。


うちのお兄ちゃんは、どちらかというと真面目でクールな寡黙タイプ。中学から眼鏡を掛けていて、秀才。


ストレートで国公立の医大に合格していて、私とは大違い。でも、私はそんなお兄ちゃんを誇りに思っているし、お兄ちゃんも私を大事に思ってくれていた。


「あっ、お兄ちゃん。こちら、蓮見総一郎さん。私の……」


火を止めて、私から紹介しようとすると、私を遮り、総一郎さんがお兄ちゃんに挨拶をした。


「はじめまして、蓮見総一郎と申します。優衣さんとお付き合いさせていただいています」


「どうも、優衣の兄の影山東吾(かげやまとうご)です」


「あのね、お兄ちゃん。実はね、総一郎さんは、私の会社の次期社長なの」
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