運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》
「……大きな声」
カツンと聞こえた革靴の音と、その声に振り向くと、クスクスと笑いをこらえた男性がそこに立っていた。
うちの本社で働く人間は、五百を超えていて、自分の部署や同じ階の人間ならともかく、ほとんどは知らない。
だからもちろん、この男性も知らなくてもおかしくない。普段の私なら「すみません」とだけ言って、そこからすぐに立ち去る。
でも、今日は、その男性から私は目をそらすことができなかった。
彼に見惚れてしまったから。
百八十は超えていそうな長身。スラッとしたモデル体型で、アーモンドアイの優しい目元に鼻筋がスーッと通った小顔。
水色のシャツと少し緩められた黒のネクタイ、高級そうなグレーのスーツに身を包んでいる彼は、芸能人やモデルのよう。
こんなに目を奪われるほどの男性、初めて見たかもしれない。
「もう終わり?」
「あっ、す、すみません。うるさかったですよね」
「いや、花火の音しか聞こえてないと思うよ。俺以外にはね」
スーツのポケットに手を入れて、少し意地悪そうに笑った彼に不覚にもドキッとしてしまった。
「そ、それなら良かったです」
そう言って私は俯いた。
あんな愚痴をこんな素敵な人に聞かれていたなんて恥ずかしくてたまらなくなったから。
カツンと聞こえた革靴の音と、その声に振り向くと、クスクスと笑いをこらえた男性がそこに立っていた。
うちの本社で働く人間は、五百を超えていて、自分の部署や同じ階の人間ならともかく、ほとんどは知らない。
だからもちろん、この男性も知らなくてもおかしくない。普段の私なら「すみません」とだけ言って、そこからすぐに立ち去る。
でも、今日は、その男性から私は目をそらすことができなかった。
彼に見惚れてしまったから。
百八十は超えていそうな長身。スラッとしたモデル体型で、アーモンドアイの優しい目元に鼻筋がスーッと通った小顔。
水色のシャツと少し緩められた黒のネクタイ、高級そうなグレーのスーツに身を包んでいる彼は、芸能人やモデルのよう。
こんなに目を奪われるほどの男性、初めて見たかもしれない。
「もう終わり?」
「あっ、す、すみません。うるさかったですよね」
「いや、花火の音しか聞こえてないと思うよ。俺以外にはね」
スーツのポケットに手を入れて、少し意地悪そうに笑った彼に不覚にもドキッとしてしまった。
「そ、それなら良かったです」
そう言って私は俯いた。
あんな愚痴をこんな素敵な人に聞かれていたなんて恥ずかしくてたまらなくなったから。