運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》
「やっぱりお兄ちゃんも出席するんだね」


「ああ。何度も断ったけれど、どうしてもと言われたからな」


その日の、帰宅後、お兄ちゃんに連絡すると、やっぱりパーティーには参加するみたいだった。

お兄ちゃんが参加するなら心強い。


「ねぇ、お兄ちゃん、この間ははぐらかされたけれど、総一郎さんに何を言われたの?」


「……言わない。あいつとの約束だからな。でも、あいつは本当にお前のことを大事に思ってる。それが伝わってきたから俺もあいつならと思ったんだ」


「あいつって、お兄ちゃん。総一郎さんは次期社長だよ」


「そうだったな。あまりにも人当たりがいいし、物腰が柔らかいから忘れてた。優衣、良かったな、いい人に巡り会えて」


「お兄ちゃん、お兄ちゃんは」


「悪い。患者の急変だ。また連絡する」


いつもそう。お兄ちゃんは都合が悪くなるとすぐに逃げるように電話を切る。


お兄ちゃんはどうなんだろう?誰か好きな人がいるのかな?


一度も聞いたことのないお兄ちゃんの相手を想像しながらその日は眠った。
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