君が恋しくて
あ〜、もうどうしよう
お祭りなんか嫌だって言ったのに昂が行くって言い張るからさ…
人が多い所は行きたくないのに。やばい、もうすぐ6時じゃん。
行く準備しなきゃな。
7月28日
夏休み真っ只中の土曜日
近くの大きな川辺で行われる夏祭りというイベントに
祐也は急ぎながら向かっていた。
玄関を出て
青いボディのお気に入りの自転車で自動販売機が近くにあるバス停に向かう。
バス停に着いて時刻表をチェックすると、次は6時14分らしい。
『よかった、間に合ってる』と胸を撫で下ろす祐也。
近くのベンチに座ろうとした祐也は同級生がいることに驚いた。
「あれ、美嘉も夏祭り行くの?」
俯いてケータイを触っている美嘉に祐也は話しかけた。
「えっ?び、っくりしたぁ」
顔を上げる美嘉の目は泣いていたのか、腫れていた。
「……どしたの、その目?」
「え、あぁ…ちょっとね」
美嘉は目をこすりながら呟いた。少しごまかすような言い方に祐也は
「もうすぐバス来るね」
としか返せなかった。