ピエロ
私はくるみさんと日課になりつつある散歩に出かけた。
何があるわけでもないのは分かってる。
寝る事が大好きな私には驚くべき変化でもあるし、あと5分寝たいという朝の衝動は特に無い。
きっと自由だからだろう、朝の満員電車にも遠回しに物事を言う上司にも会うことは無い。
そうして歩いていると、くるみさんは驚いた顔で何かを見つけた。
「あ!あの人です!私を連れてきた人!」
そう言うと見てる方を指さした。
そこには少し冷たい目をしたタクシーの運転手がいた。
その運転手はこちらをチラッと見て少しばかり溜め息を付いたような表情をして、車に乗り込み走り出した。
「何か避けてるみたいで気分悪いわね。」
私がそういうと、くるみさんは特に気にしてるわけでもなく、車が走り去った方を見ている。
「行っちゃいましたね、ほんと何か恨みでもあるんですかね。」
そう言い、くるみさんは少し笑みを浮かべた。
続けて疑問が浮かんだくるみさんは私に問う。
「亜希さんの知ってる運転手はどんな人なんですか?」
少し答えづらい問いだったか知ってるままに答えた。
「藤原さんって人でね、いつもニコニコしてて、とても親切よ。」
ここで私は疑問が浮かんだ。
私は来た日、藤原さんに役所に連れていかれた。
しかし、くるみさんにそんな様子はない。
「くるみさんは、役所に行ったの?」
「え、そんなのあるんですか?行ってないです、何するんですか?」
「何かね、私はその藤原さんに連れて行ってもらったんだけど、ここの住人になったっていう登録をするみたい」
「へぇ。行ったほうがいいんですかね?」
「どうだろ、ここお金も使わないし、働いてないし、いるのかって正直思ってるし、何より場所が分からないの」
「場所も分からないし、どうしましょ。」
「藤原さん会えたら聞いてみた方がいいね!」
「そうですね…!」
本当に疑問の多い世界だ。
そうしてまた歩き出した。
「ほんとにあんまり人がいないですね」
くるみさんはふとそう言った。
「そうね、くるみさんに声をかけられた時もびっくりしたもの」
「そうですよね、私も人があまりにもいないので、亜希さん見つけた時思わず声をかけないと!って思ったんです」
必死だったらしい。
「でも亜希さんってほんと落ち着いてますよね、ここに来る前もきっと素敵な人だったんだろうなぁ」
くるみさんは独り言のようにそう呟いた。
私は少し胸が痛くなった。
素敵なんかじゃない、落ち着いてもない。
仕事でもミスばかりしていた馬鹿な私は、くるみさんにはどう写っているだろうか。
「そういえば、くるみさんは幾つだっけ?」
「21歳です!」
「じゃあここに来る前は大学生?」
「はい、特にこれといって得意な事も無かったですけどね」
「そうなんだ、私は23歳で、専門学校卒業して就職したの」
「そうなんですね!」
そうこう言いながら、また家に帰った。
家に帰ると、晩御飯を済ませ、少し今後について話をした。
が、そもそもこの世界について私とくるみさんとでは知ってる知識量が少なすぎて、あまり詳しく決めることも出来ないのだ。
私達は藤原さんを探す事にした。
現時点でこの世界について1番よく知ってる人はあの人だけだ。
とりあえずの方針が決まったところで、私はいつものようにペンを握った。
<今日も世界は回ってる。この世界の形は分からないけど、疑問が浮かぶ程度には進んでる。また明日と繋がっていく。私の生きる意味なんていうと重たいが、今はこれしかない。>
そう書くと眠りについた。
何があるわけでもないのは分かってる。
寝る事が大好きな私には驚くべき変化でもあるし、あと5分寝たいという朝の衝動は特に無い。
きっと自由だからだろう、朝の満員電車にも遠回しに物事を言う上司にも会うことは無い。
そうして歩いていると、くるみさんは驚いた顔で何かを見つけた。
「あ!あの人です!私を連れてきた人!」
そう言うと見てる方を指さした。
そこには少し冷たい目をしたタクシーの運転手がいた。
その運転手はこちらをチラッと見て少しばかり溜め息を付いたような表情をして、車に乗り込み走り出した。
「何か避けてるみたいで気分悪いわね。」
私がそういうと、くるみさんは特に気にしてるわけでもなく、車が走り去った方を見ている。
「行っちゃいましたね、ほんと何か恨みでもあるんですかね。」
そう言い、くるみさんは少し笑みを浮かべた。
続けて疑問が浮かんだくるみさんは私に問う。
「亜希さんの知ってる運転手はどんな人なんですか?」
少し答えづらい問いだったか知ってるままに答えた。
「藤原さんって人でね、いつもニコニコしてて、とても親切よ。」
ここで私は疑問が浮かんだ。
私は来た日、藤原さんに役所に連れていかれた。
しかし、くるみさんにそんな様子はない。
「くるみさんは、役所に行ったの?」
「え、そんなのあるんですか?行ってないです、何するんですか?」
「何かね、私はその藤原さんに連れて行ってもらったんだけど、ここの住人になったっていう登録をするみたい」
「へぇ。行ったほうがいいんですかね?」
「どうだろ、ここお金も使わないし、働いてないし、いるのかって正直思ってるし、何より場所が分からないの」
「場所も分からないし、どうしましょ。」
「藤原さん会えたら聞いてみた方がいいね!」
「そうですね…!」
本当に疑問の多い世界だ。
そうしてまた歩き出した。
「ほんとにあんまり人がいないですね」
くるみさんはふとそう言った。
「そうね、くるみさんに声をかけられた時もびっくりしたもの」
「そうですよね、私も人があまりにもいないので、亜希さん見つけた時思わず声をかけないと!って思ったんです」
必死だったらしい。
「でも亜希さんってほんと落ち着いてますよね、ここに来る前もきっと素敵な人だったんだろうなぁ」
くるみさんは独り言のようにそう呟いた。
私は少し胸が痛くなった。
素敵なんかじゃない、落ち着いてもない。
仕事でもミスばかりしていた馬鹿な私は、くるみさんにはどう写っているだろうか。
「そういえば、くるみさんは幾つだっけ?」
「21歳です!」
「じゃあここに来る前は大学生?」
「はい、特にこれといって得意な事も無かったですけどね」
「そうなんだ、私は23歳で、専門学校卒業して就職したの」
「そうなんですね!」
そうこう言いながら、また家に帰った。
家に帰ると、晩御飯を済ませ、少し今後について話をした。
が、そもそもこの世界について私とくるみさんとでは知ってる知識量が少なすぎて、あまり詳しく決めることも出来ないのだ。
私達は藤原さんを探す事にした。
現時点でこの世界について1番よく知ってる人はあの人だけだ。
とりあえずの方針が決まったところで、私はいつものようにペンを握った。
<今日も世界は回ってる。この世界の形は分からないけど、疑問が浮かぶ程度には進んでる。また明日と繋がっていく。私の生きる意味なんていうと重たいが、今はこれしかない。>
そう書くと眠りについた。