男女七人夢物語
無意識に口が負の言葉を紡ごうとしてるのが分かる。こんなの教室で呟いたらいけない。分かってる。分かってるけど、止まらない感情。
私はペンをとった。
溢れ出す感情をコントロールするには、これが必要だ。
呼吸の仕方を忘れたとき、この世界でうまく息をするには、コツがいる。
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この世に絶対的被害者は存在するか。
ふとそんなことを考えた。これは………なかなか証明するのが難しい。
例えるなら、白い鴉を見つけるのと同じくらいに。
だって、人は生きていれば必ず誰かを傷つける。それが道理なんだと思う。加害者にならない人間など私は知らない。
じゃあ、逆に絶対的加害者は存在するか。
私はこれもいない気がする。
傷つかない人間など、もはや人間じゃない。
でも、ならなぜ傷つき傷つけ合うと分かっていて、人は、私たちは生まれてくるんだろう。
そう考え始めると、もう生きてる意味が分からなかった。多分、私には一生分からないんだと思う。
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次の一文を書こうとして自然と手が止まった。気持ちはだいぶ落ち着いてはいたが、私は教室でなんてこと書いてるんだろうか。
バレたばかりなのに。
そう思うと顔を上げるのが怖くなった。
誰かがこっちを見てるんじゃないか。私のことバカにしてるんじゃないか。
そんな不安が私を襲う。
いつのまにか、持っていたシャーペンが手から滑り落ちた。
キーンコーンカーンコーン___
タイミングを計ったかのように耳に飛び込んできたチャイム。私は素早くシャーペンを拾い上げた。
帰り際のSHRは先生の話なんか無視して、私は夢中で教科書をリュックに突っ込んだ。
そして帰りの挨拶が終わった瞬間、私は周りには分からないくらいの早足で教室を出ようとした。
視界の端で、思った通り私のオトモダチが私と話したそうにこっちを見ているのが分かる。
けど、無理だ。
今は考えがまとまらない。何も答えられない。
私がオトモダチに話せることなんて、ひとつもなかった。