男女七人夢物語
加々見学
学校祭なんて、くそ食らえ。
俺は常日頃そう思っている。
学校祭を楽しんでるのは、働かずにしゃべっている奴らだ。授業潰れてラッキーくらいに思ってる奴。
正直羨ましい。
生徒会長なんてやるもんじゃない。というか、生徒会自体が損な役回りだ。
目安箱の中身は、やれ携帯禁止反対だの、購買じゃなくて学食が欲しいだのと、公立かつ一生徒として出来ないような無理難題をぶつけてくる。
俺が欲しているのは、そんな意見じゃない。
しかし、俺のそんな心の叫びを無視して、毎回生徒総会ではその要望について不可能であると遠回しに告げなければいけない。当然ブーイングの嵐である。
損な役回り、なんてもんじゃないと思う。予め矢が刺さると決まっている的のようなものだ。
そして生徒会は学校祭時期になると、十中八九病み始める。理不尽な残業。各々からの情報の氾濫。行き違い、勘違い。
正直、全く収拾がつかない。
あと、他の部やクラスが『聞いてない』『言ってなかったけどこれやって欲しい』『去年通りだから言わないでも伝わるでしょ』とか言われると本当にどうしようもない。
知らないよ。
そう言えないのも生徒会である。学校祭当日ボロボロになって責められるのは俺たちだ。
中学の頃はまだマシだった。まず食い物屋がなかった。部活の出し物もなかったし、クラスには先生がついていた。
今思えばとても楽だったと思う。
だけど、高校は中途半端に生徒任せだ。そのせいで結果生徒会任せに陥る。
まあ、ここまでつらつらと文句を並べてはみたが、俺は俺の意志を持って生徒会長をやっていると言った方がいいのだろう。
「かいちょー、会長のクラスって何やるんでしたっけ?」
黙々とパソコンに向かっていた手を休めて俺はその声に振り返る。