男女七人夢物語
「えっ!なんで、考えてること分かったの?」
「俺に食われない奴だろ?」
「………自画自賛」
「なんとでも言え」
「怒んないでよ。自覚があるのも、言い切れるのもすごいことなの知ってるし」
それはよく分かってらっしゃる。
「でも、簡単じゃない。全員を説き伏せるのは骨が折れるかもよ?」
「うん」
「手伝ってやろうか?」
「いや、時田陽葵と佐山武以外は、どうとでもなる気がする」
「ほう」
人付き合いのいい奴は置いといて、井上奏太が入ってないのが不思議だった。俺の中じゃ井上奏太と佐山武を説き伏せるのが一番大変そうだったから。
気になったのでそう聞くと、
「いや、井上くんとは友達になったの、今日」
という返答。
その過程も気になったが、
「バスの時間ヤバイから帰る」
と、そう言われた。
腕時計の針は、トイレと言って生徒会を出てからかなり経っている。
惜しいが、俺もタイムリミットだろう。
「じゃあ本当にまた明日」
今度は、嘘偽りのない木下に身合った挨拶になった気がした。