男女七人夢物語



だけど、それでいて偉そうじゃないことも人気の理由だった。


無愛想な転校生の俺を野球に誘ってきたのも京也だし、流されるように入ったクラブチームで一番野球が上手かったのも京也だった。


俺はすぐに京也のことが好きになった。

京也にはたくさん友達がいたけど、何かと俺と一緒にいることも多かったから、俺たちは互いに一番の友達だと思っていた。


それが分からなくなったのは、いつからだったんだろう。


ただ、今はもう手遅れなのだけはなんとなく分かっていた。


分かっていたのに、分からないふりをしてしまった。



今思えば、京也が自分に本当に思っていることをもらしたことなど一度もなかったのに。



「なあ、京也」


「んー?」



「お前が野球辞めるくらいなら、俺が辞める」


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