男女七人夢物語
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騒がしい教室。みんな自分と同じ階級の人たちと無意識に集まって、笑顔を浮かべている。
なんの疑いもなくそうするのは、みんな身の丈という言葉を知っているからなんだと思う。
私はそんな教室が嫌いじゃない。
たとえ、友達選びの基準が好きとか嫌いとかじゃなくて、尊敬できるできないでもなくて、ただ階級が同じだという現金な関係だったとしても。
私はそんな関係を否定できない。
だって、否定してしまったら私自身を否定することになる。
私だって身の丈という言葉の囚人だから。
「おーい、座れよー。お前らもう高校三年なんだからもう真剣に勉強今からしてけよ。俺と違ってお前らの可能性はまだ無限にあるんだからな」
私のシャーペンの芯が折れた。
「………先生、同じだよ」
私の夢が叶う可能性も、先生がこれから大金持ちになる可能性も。
私は先生の夢見がちな励ましよりも、この教室の方が好きだ。
この教室の人間関係の方がよっぽど人間の心理をついている。
「まあ、なんか悩んでんだったら相談しろよ。何でも答えてやるから」
ウソ。
何でも、なんて安請け合い。私が将来は小説家になりたいって言っても、せいぜい文学部のある大学勧めてくるだけなんだから。
真剣に私の夢を応援してくれる人は多分、もういない。
あの日、私に夢をくれたあの人にはもう、二度と会えない。
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