男女七人夢物語
甲子園が終われば俺たちは引退する。それまでの一年にも満たない間のギクシャクなのかもしれない。
時間が関係を修復してくれるのかもしれない。けど、納得なんてできなかった。
「確かに京也が辞めようと思うのは、京也の問題かもしれないけど、チームの問題でもあるんだ。そして、俺はチームの………」
「キャプテン、だろ?」
しまった、そう思った。
今の言い方はなかった。俺がキャプテンの名を京也に振りかざすのは一番やってはいけないことだった。
「………そんな顔するなら言うなよ」
俺の心情を察してか、少し疲れたような表情で京也は俺の頭をなでた。
「ごめん。俺はただ___」
「分かってるよ。全部取っ払えば俺も武と野球するのが好きだ。でも、好きだとか、武とやりたいだとか、そういうのにこだわってちゃもう駄目だろ?」
「そんなこと……!」
「あるんだって。お前が俺に気を使えば使うほど、他のメンバーが戸惑うの分かってるだろ」
「それは………」
「お前と俺の関係は野球部を混乱させる。お前がそれを分からないと言うなら、俺は辞める」