男女七人夢物語


京也の言うことは確かに的を得ていた。


野球部は良くも悪くも実力主義だ。上手ければ一年生だろうとベンチ入りしてるし、下手な奴は三年間ベンチにも入れない。


そんな過酷な条件のなかで京也は二年間頑張った。でも、俺と違って伸び悩んでいてついこの間とうとう補欠になってしまった。


京也本人はその時もうどこかで覚悟していたのだと笑った。だから、周りもまた頑張ればいいさと京也に笑っていた。


でも、俺は違った。


曲がりなりとも京也の隣に一番長くいたのは自分だ。

京也が心の底はきっと荒れている。


それから、俺は今まで以上に京也に絡んだ。練習もできるだけ京也とペアを組んだ。


それは異例だった。キャプテンは副キャプテンと組むのが通常だったからだ。そこから部活の中で変な空気が漂ってきたのは気づかなかったわけじゃない。


副キャプテンをやってる奴があからさまに京也を無視し始めたのも、俺の態度のせいなんだと分かっていた。


でも、京也が戻ってくればいいだけの話だと思っていた。京也は野球に対してだけは真面目だったし、俺と組んでればすぐ叶うだろうと踏んでいた。


けど、違った。


日数だけが過ぎていって、部活の雰囲気はめちゃくちゃだった。


俺は多分キャプテンとして選択を間違ったのだ。



だから、京也が辞めようとしている。


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