お気の毒さま、今日から君は俺の妻
休暇を申請するにあたりとりあえず総務部長には話していたのだが、そのほかの人には黙っていたのである。珠美にもだ。彼女にしたら青天のへきれきだろう。そして自分だって、同じことを彼女にされたら、やはり寂しい思いをしたに違いない。だから彼女の怒りは当然だ。
「本当にごめん」
「反省してますっ!?」
「してる。してます……ごめんなさい」
結婚式があったのは四日前だ。澄花は慶弔休暇で五日間の休みをもらっていた。
「ちょっといろいろあって……急いで結婚しなくちゃいけなくなって」
澄花はさらに真面目に頭を下げる。
「タマちゃん、いつも私に聞きたいことあっても、聞かなかったよね。今回のことも、黙ってていいかなって、甘えてしまってた。でも……結婚だもんね。せめてたったひとりの友達の、タマちゃんには言わないといけなかったと思う。私自身、自分のことでいっぱいいっぱいだったとはいえ……本当にごめんなさい」
その瞬間、珠美の顔が今にも泣きだしそうに歪む。
「先輩ったらぁ~!」
そして急に抱きついてきたと思ったら、ベソベソと泣き声になってしまった。