お気の毒さま、今日から君は俺の妻
どうやら高嶺を探して社内のあちこちを歩き回っていたらしい。
「マサ~! ったく、今日は十時からインタビュー仕事があるって言っただろ?」
天宮ははぁ、とため息をつきながら澄花、珠美、高嶺のそばまでやってきて、三人の顔を見まわした。
「また珍しい組み合わせだね」
確かに彼の言うとおり、総務の女子ふたりと社長という、変わった組み合わせだった。
そもそも高嶺はめったに社長室から出てこないのだ。たいていのことはすべて副社長の天宮に頼り、秘書すら使っていないのである。
「天宮さん、社長、ハンモックの下で寝てたんです。私たちびっくりしちゃって」
即座に天宮の隣に立ってヒソヒソ顔で耳打ちするポーズをとる珠美に、
「こら、翔平にいいつけるな」
高嶺はクスッと笑って、天宮の肩に手を乗せた。
「シャワーを浴びてすぐに用意する」
「はいはい。頼むよ」
そして高嶺は、足早に休憩室を出て行ってしまった。
「社長って起き抜けからしてパワフルですよね~常にエネルギーがばーーっと出てる感じ!」
珠美の言葉に、天宮はふっと笑ってうなずいた。
「そうだね。あの悪魔的に回転の速い頭脳は相当なエネルギーを必要とするからね」