お気の毒さま、今日から君は俺の妻
寝室には小さな二人掛けの丸テーブルが置いてある。その上にトレイを置いて、
「龍一郎さん」
と、呼びかけた。
「ん……」
応えるように龍一郎が身じろぎする。だが目は開いてない。
龍一郎はショートスリーパーというのは本当だ。連続して眠るのは本当に三時間程度なのだろう。
ベッドに入っていても、合間合間で起きては、仕事をしているようだ。彼はそれで問題ないと言うが、できればもう少し眠ってもらいたいし、やはり健康面など気になってしまう。
(まず、睡眠に食事よね)
そういう基本的なことの積み重ねが、日々の生活というものだろう。
「お昼ご飯作りました。召し上がりませんか」
枕元に立って顔を覗き込む。
「お昼……ごはん?」
澄花の呼びかけにゆっくりと長いまつ毛が持ち上がって、ネイビーブルーの目が澄花をとらえた。
「はい。簡単なものですけど」
「――食べる」
むくりと龍一郎は体を起こしたが、そのままなぜか唇が奪われていた。