お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「や、私を食べるのではなくてっ……食事ですっ」
思わず両手で龍一郎の肩を押し返すと、龍一郎はテーブルの上に視線を移動させた。
「本当だ……」
「本当ですよ」
龍一郎は裸のままベッドから降りてきたので、慌てて澄花はくるりと背中を向ける。
「なぜ背中を向けるんだ」
背後で龍一郎がデニムを履きシャツを羽織る気配がする。
「なぜって……当たり前じゃないですか。もうっ……」
澄花は激しく照れながら、そのままテーブルについた。
トレイにふたり分を乗せられなかったので、一枚のお皿に山盛りのパスタと、マグカップにスープをいれて持ってきた。
向かい合って椅子に座る龍一郎にフォークを渡しながら、澄花は苦笑した。
「ごめんなさい、ちょっとお行儀悪いですよね」
澄花と違って、本物の御曹司である龍一郎は、一枚の皿を分け合ったことなどないに違いない。