お気の毒さま、今日から君は俺の妻

(私もなにか手伝えたらいいのに……)


 だが自分にできることと言ったら、些細なことばかり。とても龍一郎の負担を減らせるような働きができるとは思えない。


(役に立たないわ、私……)


 そんなことを漠然と考えながら、いつものように職場で掃除をしていると、これまた早朝出勤にすっかり慣れたらしい珠美が、かろやかにスキップをしながらやってきた。
 今日もひらひらとひらめく、ピンク色のシフォンスカートが愛らしい。


「おっはようございま~すっ」
「おはよう、タマちゃん」


 機嫌がよさそうでなによりだと思いながら、澄花も挨拶を返すと、珠美はウフフと笑って近づいてきた。


「せんぱーいっ、招待状のお返事出しておきましたからねっ!」
「ありがとう」
「ギリギリになってごめんなさいっ」
「ううん、来てもらえるの本当に嬉しいわ」


 それは澄花の本心だった。珠美はいまやたったひとりの友人なのだから、彼女が来てくれるだけで充分なのだ。

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