お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「じゃあ……だったら……出て行ったってこと? 写真を見て、呆れたから……私の顔を見たくなくなった……とか」
そう思えば納得できないこともない。
彼は自分に、愛想がつきたのかもしれない。忘れられない男がいて、その写真を新居に持ってくるような女には、愛する価値がなかったと気づいたのかもしれない。
だとすれば自業自得だし、今さら澄花が何かをしたところで、かえって龍一郎を煩わせるだけなのではないか……。
「はぁ……」
急に弱気になった澄花は、そうやってほんの少しの間だけ落ち込んでいたが、澄花はまたぷるぷると首を振った後、階段ですっくと立ちあがった。
「勝手にあれこれ考えてても、話にならないわよね……!」
そうだ。それでは今までとなんらかわりない。進歩もない。
時計を見ると、朝の七時になっている。このまま階段に座っていても龍一郎は戻ってこないだろう。
澄花はとりあえず気持ちを切り替えて仕事に向かうことにした。