お気の毒さま、今日から君は俺の妻
考えてみれば、いつも龍一郎はまっすぐに思いをぶつけてきてくれた。
だが澄花は自分の気持ちをいつも言葉にすることが出来なかった。
(私も伝えなきゃ……)
「龍一郎さん、さっきのは、勘違いじゃないんです」
「は……?」
また龍一郎が怪訝そうに眉根を寄せる。本当に、意味が分からないと顔に書いてある。
「だから……私……あなたに好きでいてもらいたいって、思っているんです」
その瞬間、龍一郎はビクンと肩を震わせる。
「そして私も……龍一郎さんのことを……すっ……」
好きだと口にしかけて、唇がわなないた。
(ど……どうしよう、恥ずかしい……!)
もうこれは、澄花にとって愛の告白も同然だった。
そうだ。そうなのだ。
確かに龍一郎とはお金目当ての契約結婚だったはずなのに、毎日とろけるように愛されて、大事にされているうちに、龍一郎のことをひとりの男性として意識するようになった。そしてただ愛されるだけではなく、彼と本当にふたりで人生を歩めたら、龍一郎の支えになれたらと、真剣に思うようになっていた。