お気の毒さま、今日から君は俺の妻

「心は手に入らないのだから、君にどう思われたってどうでもいい、愛したいように愛せればいいと思っていたはずなのに、君は想像以上に優しくて、どうでもいいはずの俺のことを一生懸命考える君が可愛くて……。気が付けば一方的に欲しいと思っていた時よりも、ずっと……ずっと好きになっていった」


 龍一郎は椅子に座ったまま、呆然と話を聞いている澄花の膝にそっと手を乗せる。


「だから――どうして俺が君を見染めたのか、知りたがっていることはわかっていたのに、言わなかったんだ。少しでも長く、まっすぐに俺を見つめる君を見ていたかったから……」


 龍一郎の懺悔は、そのまま澄花の胸に突き刺さる。
 まるで身を絞るようなその声に、澄花は正直言って、どう応えていいかわからなかった。


(愛される資格がないって……そういうことだったのね)


 そして彼が出会ってからずっと、愛さなくていいと言っていたのはこういうことだったのかと、澄花はようやく納得することが出来た。

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