お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 最初は、龍一郎が澄花の意思を必要していないのかと悩んでいたことを思いだして、そうではなかったことに、改めてホッと胸を撫でおろさずにはいられなかった。


 それにしても――七年前のあの雪の日――。
 あの場所に、澄花の人生が終わったと思ったあの場所に、龍一郎がいたなんて。
 同い年だなくらいにしか思っていなかった龍一郎が、まさか春樹と同じ学校だったなんて。


「そういえば身上書……」


 結婚する前に龍一郎から出された身上書には、大学やその後の華々しい経歴しかなかったような気がする。だが正直言って、KASTURAGIの御曹司がどこの高校を出ているかなんて、気にもならないはずだ。

 澄花の意図がわかったのか、

「ああ……そうだ。わざと大学以降しか書かなかった。高校の名前を書けば、さすがに気づかれると思って……。そして一度身上書を出してしまえば、同級生だとはばれないだろうと言う意図もあった」

 そして龍一郎は、自分の手の甲の上に額を押し付ける。


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