お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「――言ったでしょう。私、世界中の誰が敵になっても、私は龍一郎さんの味方だって」
澄花は顔をあげ、龍一郎の頬に手を乗せた。
「たとえ龍一郎さんが、自分のことを好きになれなくても……私がその分、愛します。大事にして、可愛がって、尊敬して、おなかいっぱいになるまで側にいます……だから大丈夫ですよ」
ずっと自己評価が低かった、自分は愛される人間ではないと思いこんでいた人の心を変えるのは、時間がかかるだろう。
だがそれがなんだと澄花は思う。
なぜなら自分と龍一郎は夫婦なのだ。
「時間ならたっぷりありますから。安心して、私に愛されてください」
言いながら笑う澄花の頬に涙が伝う。
目じりからぽたぽたと涙が落ちる。
だがこれは悲しみの涙ではない。置いていかれた者の悔し涙でもない。
ただ愛する人によりそえたら、これ以上の喜びはないという涙だった。
「龍一郎さん」
澄花は呆然と自分を見つめている龍一郎に顔を近づけて、そっと唇の上にキスをする。