お気の毒さま、今日から君は俺の妻
エピローグ

 それから時は過ぎ――季節は夏になった。

 澄花は額から流れる汗をタオルで拭きながら、空を見上げる。


「暑い……っていうか、これどのくらいやったらきれいになるんだろう……?」


 腰と背中をうーんと伸ばしながら、周囲に広がる庭を見回す。

 長い髪をひとつにまとめ、TシャツのうえにUVカットのパーカーを羽織ったジーンズ姿の澄花は、軍手をはめた手に鎌を持っている。おまけに足元は長靴で、完全な草むしりスタイルだ。

 鎌倉の本宅の敷地は信じられないくらい広い。当然お抱えの庭師がいて、草木を整えてくれるのだが、夏ともなるとすぐに雑草が伸びて、大変なことになるのだ。

 なので座敷から見えるところくらいは自分でやろうと思い立ったのだがこの調子では簡単に終わりそうにない。
 数日はかかりそうだった。


「すうちゃん、お茶が入りましたよ」
「はーい!」


 澄花は声のしたほうに返事をして、澄花はきびすを返し縁側へと小走りに向かった。


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