お気の毒さま、今日から君は俺の妻

「はい、本当に。あの、もしかしたら余計なお世話かもしれませんが、また人手がいりそうなときは声をかけてください」


 ひとりっ子で兄妹がいない澄花には、子供たちに囲まれるのは新鮮な体験だった。まだ胸の奥は興奮でワクワクドキドキしているような気がする。


「私、ひさしぶりに大きな声を出したかもしれません」


 澄花がふふっと笑うと、

「そう言っていただけると俺も助かります。ありがとう」

 と、基が美しい目を細めて、微笑んだ。


 そうやってお互いお礼を言い合っていると、

「澄花」

 と低い声で名前を呼ばれた。振り返ると篠崎と一緒に龍一郎がキッチンに入ってくる。ようやく仕事が終わったらしい。


「あ、龍一郎さん!」


 澄花は跳ねるように龍一郎のもとへと向かう。だが次の瞬間、腰を抱き寄せられ、澄花は龍一郎の胸の中に飛び込むような形になった。


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