お気の毒さま、今日から君は俺の妻
「水を飲んだ方がいい」
龍一郎は持っていたミネラルウォーターを澄花の前に置く。
「あ……ありがとうございます」
確かに長湯をして喉が渇いていたので、水はありがたい。気まずい思いをしながらも、ペットボトルを手に取った。
(ん……あれ……?)
外国産らしいおしゃれなブルーのペットボトルだったが、蓋が開かない。
(どうして開かないの……っ……!)
澄花が無言で手に力を込めると同時に、
「貸してみなさい」
と、ペットボトルがひょいと奪われる。
「あ」
目の前に立っていた龍一郎が軽々とペットボトルの蓋をひねると、いとも簡単に開いてしまった。
「――すみません」
それを受け取ろうと立ち上がった瞬間、ふらりと目眩がした。
「……っ」
ぐらりと視界が傾く。