お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 尚美が用意してくれたのは、サバの味噌煮、レンコンのきんぴら、ひじきの煮物、そして玉子焼き。どれも澄花の好物だった。
 実に渋いメニューだが、自分では作れないのでつい尚美に頼ってしまう。


「美味しかった~」
「そう、よかったわ。持って帰るぶんも詰めてあげようね」


 ニコニコと笑う澄花を見て尚美もずいぶん嬉しそうだ。


「うん。じゃあ私がお茶を淹れるね。お菓子も持ってきてるから」
「ありがとう」


 そうやって、食事は和やかに終わったが結局俊樹は帰ってこなかった。
 お茶を淹れながら澄花は時計を見上げる。


「もう九時になるのに、おじさん遅いね」
「……そうだねぇ」

 保存容器におかずを詰めながら、尚美はまた浮かない顔になった。


(やっぱりなにか変だ……)


 澄花はお茶を淹れた後、持参していた焼き菓子をテーブルの上に並べながら問いかける。

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