お気の毒さま、今日から君は俺の妻
(健全な経営になるまで見守ってくれる……? 本当に?)
それこそ願ったりかなったりだ。まるで夢のような申し出だが――自分とその申し出が果たして釣り合うのか、
今度はそんなことが不安になった。
黙り込んだ澄花の不安を感じ取ったのか、龍一郎の指がそっと澄花の頰をなでる。
だがそこには色っぽい気配はなく、どちらかというと澄花の存在を確かめるような、まるで猫でも撫でているようなそんな雰囲気だった。
「あの……でも、私にそこまでの価値が……あるのでしょうか」
(自分で申し出ておいて今さら何を言っているのかと笑われるかもしれないけれど……)
「ある……君にはその価値がある」
龍一郎は低い声でささやきながら、頬を撫でる指をそのまま滑らせて、なんと今度は、澄花の唇の上を親指でなぞり始めた。
「あっ……」
さっきまでは猫でも撫でているような雰囲気だったのに、これは違う。