ただ、そばにいたいだけ。

そりゃあ、もう。
はい、凄く好きですよ。

どうしようもないくらいに彼が好き。

やっと手に入れた彼女という肩書きを、簡単に手放したくなんてないんだ。


わたしも数いる女の子のなかの1人にすぎないけど…。
好きっていう気持ちはそんなに簡単に消せるものじゃない。
諦めろって言われて、はい分かりましたなんて言えるわけがない。



「春陽がいいならいいんだけど」


目の前でため息をつきながら笑う玲をみて、ちょっと心がやすらぐ。
…なんだかんだで浮気を目撃するのは少し心臓にグサッとくるから。(いや、かなり)



「ありがと!…きょう、帰り誘ってみる」


「ふーん…せいぜい頑張りなよ」




佐野春陽、今日初めて新くんを誘います。
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