ただ、そばにいたいだけ。
…どうやら思いだせてもらったらしい。


新くんの頭の片隅に残っていてくれていたのなら、充分だよね。


…だけど。


わたしは思い切って新くんの前に立ちふさがる。




そしてこう言った。



「あのっ…わたしとデートしようっ」


「は?」


ここでへこんだら負けだ。
ここで傷ついたってしょうがない。
この人に傷つきましたーなんて言っても慰めてくれるはずないし、どうでもいいだろうし。
どうせなら、当たって砕けろってね。


「…デート、しよう?」


自分でも捨て身だなと思う。

目の前の新くんは一瞬びっくりしていたけど
< 9 / 64 >

この作品をシェア

pagetop