❆LastChristmas❆
そして、副社長はあたしの手を掴み握った。


初めて感じる男性の手の感覚。



「ちょ!ちょっと!」


「手、寒いんだよ…。」


そう言って握った方っぽの手を自分のポッケにしまった。

私はドキドキしてしまった。


「…なあ、何食いたい?」


「え?…ど、どこでも!」


「…何だよそれ。そこは大体女は寿司とか、フレンチとか食べたーいとか言うもんじゃねえの?」



「…言いませんよ。そんな事…。」


…分かってはいるけど、副社長はやっぱ女慣れはしてるな…。

まあ、食事連れて行ったり、プレゼントあげたりしてるとか言ってたもんね…。

ズキ

その時何故か針でチクっと刺された痛みを少しだけ感じた。


「??」



「おい、どうする?」


「え?あ…。」


(いくら、仮恋人とはいえ申し訳ないもんね…。あ!)


その時財布に、ラーメンのクーポンを入れている事を思い出した。


「副社長!」


その時


「え?副社長?何?」


「有名人?」


近くにいた人達がザワザワしていた。


「バカ!お前!会社じゃないのに言うな!」


「す、すみません!」


(…だって普段会社でしか合わないから!つい…。)

「…ったく、恋人なんだから普通名前だろ?」

…え?名前?
< 40 / 109 >

この作品をシェア

pagetop