❆LastChristmas❆
「…副社長、ごちそうさまでした。」


「どういたしまして。」


また、ニコッと笑うその笑顔。


だから何なんですか…。


ズルいですよ…。


「…どうした?」


「な、何でも!」


「どうした?熱でもあるのか?」


…そう言って副社長は私の前に来た。



(近いですって!)


「…熱はないみたいだな。」


ひんやりとした副社長の手が、あたしの額に触ったという感覚が分かる。


「だ、大丈夫です!!い、行きましょう!」



「…そうだな。」



そして私と社長は駐車場まで歩いた。



後姿を見るだけでドキドキしてしまう。 


歩いていたその時、副社長が口を開いた。


「…美月。」


「は、はい!」 


「…クリスマスもうすぐだな。」


そうだ。


約束まで後3日間だ。



「…そうですね。」


「………」


「………」 


そして私達はその後無言になってしまった。

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