嫌い。だけど好き。
「いや~さっきは危なかったな!
俺様の演技力はすごかっただろ!?」
お昼休み時間・・・
廊下の壁に背中をつけて自慢気に言う晃哉君。先生に嘘ついた時の事だろう。

本当に ありがとう。
あの部屋で、晃哉君と一緒にいたから少し落ち着けたよ。

「そーだね。演技 上手だったよ」
ニコッと言う私。これも自然に出てくれる笑顔。筋肉が 綻んでくみたい。


「結愛・・・少しいいか?」
有栖川さんが 私の後ろから声をかけてきた。少し機嫌が悪いのか、怖い顔をしている。

「・・・はい?なんでしょう?」
「・・・ここじゃアレだから、今日、僕の部屋においで」
有栖川さんが晃哉君をチラッと見た気がした。
・・・晃哉君の前で こんな会話はしたくない。

「わ、分かりました。
晃哉君、次の授業始まるよ!」
私は その場から逃げたくて、教室に晃哉君を押しながら入った。
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