嫌い。だけど好き。
朝食を終わらせ、細かな身支度をすませると 何千万円するのか予想をもつかない 車へと乗り込む。もちろん 手のいい運転手付きだ。

その車は 音も立てずに
結愛の学校である 恒星学園へ向かう。


止まりも静かな車。結愛は友達と笑い合いながら交差点を渡る 女子高生達を ボーッと見ていた。毎朝 同じ光景。そして同じ気持ち。

恒星学園の昇降口前に止まる車。
自分からドアを開けようとはしない結愛。
運転手がドアを開け、それに合わせて 車を降りる。

その瞬間、周りの生徒達からは感嘆の声が上がり 春風が結愛の腰より少し短い髪に触れた。
「行ってらっしゃいませ。お嬢様」
毎朝 毎朝 同じ挨拶。
初等部に入学した頃からなにも変わらない。

「行ってきます」
少し笑を浮かべて運転手に言う結愛。
コツ と足を踏み、昇降口へ向かう。
その一際 目立つ 結愛に近づく者は 誰1人いなかった。
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